失敗しないブレインストーミングのコツ! 効果的なやり方と注意点

2020.11.12

アイデアを出す方法の代表的な手法として、ブレインストーミング(以下ブレスト)があります。
ブレストをどうやって開催してよいか分からない、ブレストを開催したがいまいち上手くいかないという方々のために、失敗しないためのブレストのコツをお伝えします。
私の前職のソニーでは、各部署でしょっちゅう大小のブレストが行われていました。
私自身も企画担当として、いろいろな形式でブレストを主催していました。
今では企業のブレストをお手伝いしたり、司会進行のサポートをしています。
そのような経験から、楽しくかつ結果を出せるブレストについてお伝えします。

■ブレインストーミング(ブレスト)とは

「ブレイン(脳)」と「ストーミング(嵐)」を組み合わせた「ブレインストーミング」は、まさに思考を嵐のように巡らせ、アイデアを出していく手法です。

グループ内で立場や形式にとらわれずにどんどん意見を出し合うことで、新しいアイデアを生み出したり、問題点の解決法を探ったりします。
ブレストを開催したことがない方は、「難しい」、「自分にもできるかな」、「うまくいかなかったらどうしよう」などと考えてしまいがちですが、形式にこだわる必要はありません。

ブレストには、通常のミーティングや会議の中で行う小さなものから、大人数で行うものまでいろいろあります。
筆者も通常のミーティングでアイデアを出したいときに
「では、ちょっとブレスト的に意見を出し合ってみよう!」
などと、ミニブレストを開催することがよくあります。
また、しっかり事前準備し半日くらいかけて行う本格的なブレストもよく開催します。

しっかり結果を出すのは、最初は難しいかもしれませんが、やっていると慣れてきます。
最初はうまく行かなくてもよいので、まずは気楽に楽しくやってみることをお勧めします。

■どんな時にブレストが有効か?

ブレストはとにかくアイデアが必要なときにはどのような時にも有効です。
いくつかあげてみます。

  • 新商品のアイデアを出したいとき
  • 企業や事業の中長期の方向性を考えたいとき
  • コンセプトやキャッチコピーなど、キーワードを考えたいとき
  • プロジェクトがうまく進まず突破口を探したいとき
  • 課題の解決策が見つからないとき

一人や担当者だけで考えていてもアイデアが出なかったり、悶々としてしまう時にはとても有効です。

■ブレストの種類

ブレストは模造紙とポストイットを準備して、、、というイメージがありますが、もっと軽いやり方もたくさんあります。
いろいろなブレストをあげてみます。

【軽いブレスト】

関係者でさっと集まって開催したり、会議やミーティング中に行うのに便利です。
参加者のアイデアを議事録係がメモしてもいいですが、みんなに見えるようにA4やできればA3など大きめの紙にメモしながら行うのがよいでしょう。

プロジェクターがある場合は、エクセルやワードなどでメモしていくのも有効です。

参加者でそれを見ながら、どんどんアイデアを膨らましていきましょう。

【本格的なブレスト】

模造紙とポストイットを使う方法です。

最終的にアイデアをグルーピングしていく本格的な手法(KJ法)もあります。

KJ法に慣れてくるとより結果をだせるブレストになっていくでしょう。
しっかり事前準備をして、ある程度の結果を求めるときには有効な方法です。
KJ法の詳細についてはまた別の記事で紹介したいと思います。

【ツールを使う】

マインドマップやMIROなどブレストに使えるツールがたくさん出ています。
一度、使ってみるのもよいでしょう。視覚的にもブレストっぽくなるので雰囲気も出ますね。
オンライン会議でも使えます。

【一人ブレスト】

ブレストは複数のメンバーで行うのが一般的ですが、一人ブレストも有効です。
アイデアを出したいとき、何かに煮詰まったときに、深く考えずとにかくブレスト的に書きだしてみてください。
何かが生まれることがよくあります。
また、その後に仲間を集めてブレストし、視点の違うアイデアを集めるのも効果的なことがあります。
私も手書きやエクセルを使って、とにかく数を書き出す一人ブレストをよくやります。
このアイデアは全然ダメだなぁ~ と思うものも深く考えずどんどん書き出していきます。
頭だけで考えるよりとにかく書き出すのは煮詰まったときには効果的です。
やったことがない方はぜひ試してみてください。

■ブレスト 5つの大原則

ブレストを行うにあたっての5つの大原則をあげておきます。

  1. 否定、批判しない。 すごい! 面白い! で盛り上げる
  2. できる、できないは考えない。 ぶっとんだアイデアこそwelcome!
  3. 質より量! 直感でとにかく量を出す
  4. アイデアを組み合わせて発想を膨らませる。 これが進むと盛り上がります!
  5. 発想への質問・提案もあり。 ○○な方向で考えてみたらどうだろう?

この5つを参加者に徹底し上手く進行すれば大きな失敗になることはないでしょう。
特に、①②③が大切です。
あとは司会役がどれだけ盛り上げるかです。

■失敗しないブレストのコツ

とはいっても、ブレスト経験がある方には「結果がよくわからなかった」、「いまいち盛り上がらなかった」などの経験があると思います。
私の経験から、失敗しないブレストのコツをお伝えします。

【目的、ゴールを明確にする】

何のためにそのブレストを行うのか、どのような結果を得たいのかについては明確にしておきましょう。参加者によってその意識がバラバラだと、終わった後にある人はうまく行ったと感じても、別の人はうまく行かなかったと感じることがよくあります。
そうなるとブレスト自体の後味が悪くなってしまいます。

以下のようなゴールを最初に共有しておくと参加者のベクトルが合い、うまく行きます。

  • その後の候補となる有効なアイデアまで絞りたい。(比較的難易度の高いブレスト)
    事前準備も入念に行い、結果がでるよう進行役がうまくガイドしましょう。
  • とにかくアイデアの数を出してみる、よいアイデアが出ればラッキー。 (比較的進めやすいブレスト)
    このようなブレストでは、数の目標を決めておくとよいでしょう。
  • ブレストをやってみることが目的。盛り上がればよい。(初めてのブレスト)
    始めてブレスト行う場合はこれくらい気楽に一度やってみるのをお勧めします。

ブレストはその後の企画へつなげる一プロセスですので、後味よく終了し次につなげるのが大切です。

【準備、段取り、シミュレーションはしっかりと】

何事もそうですが、幹事役を務める人は準備と段取りを念入りに行ってください。
段取りが悪いと盛り上がるものも盛り上がらなくなってしまいます。
コツは想像でよいのでシミュレーションしてみて、スムーズに進むか、不備はないかの確認をしておくことです。

よくある段取り不足をあげておきます。

  • 会議室の確認不足で模造紙が貼れなかった → 会議室は事前に確認しておきましょう
  • ペンが書けなかった、足らなかった → 確認と予備も用意しましょう
  • 説明、ブレスト実施、まとめなど、進行がグダグダになってしまった → しっかりシミュレーションしておきましょう
  • 時間不足で中途半端に終わってしまった → 時間管理徹底とリカバリプランを考えておきましょう
  • いまいち盛り上がりにかけてしまった → 盛り上げ役に事前に協力依頼しておきましょう
  • 特定の人がずっと話したり場を仕切ってしまった → 事前に状況説明と協力依頼をしておきましょう

【目的にとらわれ過ぎない】

よくあるのが進行役や参加者が目的やゴールを意識しすぎて、アイデアや意見を否定してしまうことです。
大原則である「否定、批判しない」ことをしっかり守り、出てきたアイデアや意見はすべて貴重に扱いましょう。
しっかり受け入れながら、ゴールに導いていくのが進行役の腕の見せ所です。

【日を分けて2回開催する】

一回目に出たアイデアをもとに参加者に考えてもらい、2回目を開催するというのもよくある方法です。
他の参加者のアイデアをもとに新たなアイデアが出ることもたくさんあります。
時間がある場合は有効な手法です。

■ブレストをうまく進めるための注意点

【人数は5~8人がベスト】

グループの人数は5~8人がベストです。
それより少ないといまいち盛り上がりに欠けてしまい、逆に10人を超えると待ち時間がだれたり、時間不足になってしまう可能性が高くなります。
少ない場合は関係する部署から参加してもらったり、多い場合は複数のグループに分けるなど工夫してみてください。
進行役の参加によっても人数調整は可能です。

【幹事役は最低二人で】

進行をしながら備品の配布やメモを取るのはほぼ不可能です。
事前準備を含めて、最低二人、できれば三人以上で進めるのがよいでしょう。
また当日手伝いが必要な場合は前もってお願いしておくのも大切です。

【場所や雰囲気を工夫する】

場所や雰囲気を少し変えるのもうまく進めるコツです。
いつも使っている会議室ではなく、少しよい会議室や場所を変えるのもよいでしょう。
狭いと盛り下がってしまうので、人数より広めの会議室がおすすめです。
また、コーヒーやお菓子などを準備しておくと場の雰囲気も明るくなります。

【外部の人に参加してもらう】

プロジェクトメンバーだけでは斬新なアイデアが出そうにないと思われる場合は、部外者や外部の人に参加してもらうのも手です。
まったくとんちんかんなアイデアや意見でもよいので出してもらうと、そこから新たな発想が生まれることもよくあります。
煮詰まったときには有効です。

【参加者にアイデアや意見を事前に準備してきてもらう】

その場でアイデアを書いてもらうと人によってはうまく書けなかったり、発言力のある参加者に引きずられてしまうことがあります。
そのようなときは事前にポストイットを配布し、一人10個などアイデアを書いてきてもらうのもよい方法です。
普段発言しない人から発表してもらい、しっかり盛り上げていきましょう。

【60点主義でいく】

ブレストはうまくいったり、そうでもなかったりするものです。
100点満点を目指さず、60点主義でいきましょう。
参加者に方針として共有しておくのもよいでしょう。

■まとめ

ブレインストーミングでしっかり結果を出すためのコツ、失敗しないためのコツについてお伝えしました。
ブレストは簡単にできてアイデア出しにはとても有効な手法です。

とはいえ、準備不足で行うとうまく行かず、チーム自体が盛り下がってしまうことも少なくありません。
目的、ゴールを明確にし、事前準備をしっかりして実施しましょう。
初めての場合はまずやってみることを目的にしてみてください。
慣れてきたらよりよい結果を出すための工夫をしていきましょう。

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