人間の欲求は永遠に続きテクノロジーが進化する
~事業発展のヒントはここにある!~
今回は、新規事業や商品企画を進める際に私がいつも心に留めているキーワード
「人間の欲求は永遠に続き、テクノロジーが進化する」
という言葉についてお伝えしたいと思います。
人間の欲求は限りなく続きそのお陰でテクノロジーが進化する。
テクノロジーが進化するとこんどはそれ以上の、または別次元の欲求が生まれてくる。
だから事業をそこでおしまいだと受け取るのではなく、
社会の変化に対応して、転換しながら事業を進める方法を探る。
事業発展のために視野を広げてみましょう。
目次
■ 人間は欲求の塊
人間は欲求の塊です。
「こんなものが欲しい」
「こうなったら便利なのに」
と、欲求が次々湧き出て永遠に尽きることがありません。
その欲求を満たすためにテクノロジーが進化し、世の中が便利になっていきます。
そうやって世の中は原始時代からどんどん発展してきたのです。
そしてこれからも進化し続けていきます。
■ 事業発展は世の中の進化の受け止め方次第
・世の中の進化をどのように受け止めるか
・進めている事業に世の中の進化をどう組み込んでいくか
新規事業開発や商品企画に限らず、事業を展開していくときには
世の中の進化についての受け止め方、考え方次第で事業展開が全く変わってしまいます。
たとえば、皆さんよくご存知のNETFLIX。
NETFLIXは、元はビデオレンタル宅配からスタートしています。
レンタルビデオ店で遅延料金が高かったことからヒントを得て事業展開したのだそうです。
それを料金の定額化、今でいうサブスク化のサービスに。
そして、コンテンツ配信へと進化し、現在に至っています。
事業形態は変化しましたが
「コンテンツをユーザーに届ける」
という価値は変わっていません。
ビデオレンタル店の多くは、
「うちはレンタルビデオ店だから、ビデオが配信されるようになって”市場が無くなった”」
と考え、事業撤退したところも少なくないでしょう。
NETFLIXは、
”提供している価値を軸に、手段を変える”
という考え方をしたことによって新たに事業展開できたのです。
■ 人間の欲求は永遠に続き、テクノロジーが進化する
私自身もサラリーマン時代、新規事業をやっていたときに
やっている事業そのものが社会の変化と合わなくなってしまい、
事業の方向転換を上司に提案したことがありました。
そのときに社内プレゼンのためにいろいろ調べ、この
「人間の欲求は永遠に続き、テクノロジーが進化する」
という言葉を見つけ、腹落ちしたのを覚えています。
人間の欲求は限りなく続き
そのお陰でテクノロジーが進化する。
テクノロジーが進化すると
こんどはそれ以上の、または別次元の欲求が生まれてくる。
事業をそこでおしまいだと受け取るのではなく
社会の変化に対応して、転換しながら事業を進める方法を探る。
新規事業や商品企画でも同じです。
「もう今が究極でしょう」
「今以上のアイデアはでません」
というような議論になるたびに、
私は、この
「人間の欲求は永遠に続き、テクノロジーが進化する」
という言葉を使っています。
社会の変化にともなって
・事業そのものが進められない
・新規事業や新商品のアイデアが出ない
というときには是非、この言葉を思い出してみてください。
違う事業展開の仕方や別次元のアイデアわいてくるかもしれません。
■ 苦い経験とサラリーマン人生の転機
この言葉を意識したことで
私自身がサラリーマン人生の方向性を変えるきっかけとなったエピソードをご紹介します。
私がソニーの記録メディア事業部門 中期戦略・商品戦略チームのリーダーを務めていた
2007年頃の話です。
当時、記録メディアは磁気テープからCDやDVDなどの光ディスクに変わったことにより
ランダムアクセスが可能となり、圧倒的に便利になりました。
その後、フラッシュメモリーやハードディスクへと変わり高速アクセスが可能となります。
さらに小型化・高容量化もどんどん進んでいきました。
ハードウェアに駆動機構が不要になったことも大きな進化です。
で、ここまで来たら、
「この先記録メディアはどうなっていくのか?」
というのが我々中期戦略・商品戦略チームの課題になってきました。
我々チームが出した結論は
「記録メディアは無くなり、インターネット、サーバーにすべて上がる」
「事業を考えると、サービスが主流になっていく」
というものでした。
当時クラウドという言葉はありませんでしたが、いわゆるクラウドと同じ考え方ですよね。
その結論を中期戦略会議で話した時の議論。
今でも鮮明に覚えています。
我々チーム:
「記録メディアの将来は、メディアという媒体は無くなり
インターネットにほぼすべてが上がります。」
「中長期を考えると、サービスとしての事業展開が必要になってきます。」
事業部門や技術部門のえらい方々:
「我々のビジネスが無くなるというのか?」
「我々の技術を否定するのか?」
我々チーム:
「いや、顧客から考えると価値は全く変わっていません。」
「手段が変わるだけです。」
「どう考えても記録メディアという“商品”は無くなるか、縮小します。」
事業部門や技術部門のえらい方々:
「そこを無くならないようにするにはどうするのかを考えるのが
商品チームの仕事でしょ。」
我々チーム:
「いやいや、だから将来は...」
会話が成り立ちませんでした・・・。
磁気テープや光ディスクの技術部門を守らなければという、
えらい方々の気持ちはよく分かります。
当時は私も若かったので言葉が過ぎることが多く
今ならもっと言葉を選んで丁寧に説明したと思いますが(笑)、
議論はまったくの平行線で終わってしまいました。
結局この議論がきっかけとなり、私は記録メディア事業部門を自ら出て
B2B事業部門に異動することを決心することになります。
■ 社会の変化、テクノロジーの進化を受け入れる
皆さんご存じの通り、現実には社会の変化にともなってテクノロジーは大きく進化しました。
結果的に、サーバーのデータ保存の記録メディアは残ったものの
「記録メディア」という商品は無くなっていきました。
ただし、”顧客価値” の視点で見ると、
コンテンツの「アーカイブ(保存)」と
「ディストリビューション(配布)」であり、
価値はまったく変わっていないんですね。
さて、話を戻しましょう。
前述の議論の際に
社内プレゼンのためにいろいろ調べているうちに
今回のテーマ
「人間の欲求は永遠に続き、テクノロジーが進化する」
という言葉を見つけ、私はストンと腹落ちしたのを今でも覚えています。
人間の欲求は永遠に続き
人間を取り巻くモノは人間の工夫でどんどん進化しています。
人間の欲求が社会を進化させ、社会の変化にともなってさらに人間の欲求も新しい価値を求める。
ですから、現在の状況は必ず進化します。
社会の変化、テクノロジーの進化を受け入れなければ前に進めません。
この変化や進化をマイナスと捉えずに
既存の事業から新しい事業に転換する力や
ビジネスのアイデアや発想を生み出すバネにしていきましょう。
進化論を唱えたダーウィンの言葉にもこうあります。
「強い者、賢い者が生き残るのではない。変化できる者が生き残るのだ。」
社会の変化、テクノロジーの進化にともなって、
今までとは違う事業展開の仕方や別次元のアイデアを生み出していく視点は必然です。
取り組んでいる事業や企画を推進するときは
是非こんなことも考えながら、ヒントを探ってみてください。
■ 余談
その中期戦略会議で、私も若気の至りで偉そうに持論をプレゼンしていたのですが、
ふと我に返ると
「分かった、お前の言う通り。じゃぁ、そのサービス事業とやらを自分で立ち上げて!」
と、もし言われていたとしたら自分は何もできない・・・ということにハタと気づきました。
冷や汗ものだったことを覚えています。
幸い、そうは言われなかったのですが、
私自身としては、
「自分がそう言っているならば自分で立ち上げてみよう」
と思い、社内をいろいろ探してみることに。
B2B業務用部門でコンテンツ管理配信事業を立ち上げようとしている部署を見つけ
自分で手を上げて異動しました。
ですが、いざ行ってみると、
いわゆるネットワーク技術の部門で、私自身はネットワークのネの字も分からず、
エンジニアが発する言葉がひとつも分からず、
サラリーマン時代で一二を争う大きな苦労をすることになりました。
このあたりはまた機会があれば書きたいと思います。
そして、記録メディア事業部門はというと、その後縮小となり、現在、形は無くなっています。
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