企画は数値化がカギ!戦略の方向性に困ったら数値化してみる

2022.02.10

■ なぜ数値化が重要なのか

商品や新規事業を企画する上で ”数値化” することはとても大きな意味を持ちます。
なぜ数値化が重要なのか。
実際に経験した場面を例にとって見てみましょう。


ある新規事業企画チームをサポートしていたときの話です。
企画会議の中で、市場導入の際の戦略をどのように行っていったらよいか議論になりました。
そこで市場導入パターンを3つに絞りました。

・パターンA:大手にアプローチする。ただし時間がかなりかかる見込み。
・パターンB:中規模企業にアプローチする。
短期間で成果があがるが、複数へのアプローチができるかがどうかがネックになる。
・パターンC:AとBのミックスパターン。成果は最大だが、手が回るかどうか不安がある。

選択するパターンによって商品やサービスの企画内容やスケジュールが変わってきます。
それぞれ一長一短があり、ああでもない、こうでもないと議論は平行線をたどっていました。

そこで、まずはざっくりでも具体的に数値化してみることを提案しました。

・期待できそうな売り上げ規模
・商品の生産キャパシティ
などをいくつかのパターンで試算してみます。

すると今まで延々と内容について議論していた状態でしたが、数値化した途端「このパターン 一択で決定ですね!! 」と、その場にいた全員の意見が見事に満場一致となりました。

数値化によって企画の戦略の方向性が決定づけられた瞬間でした。

このように企画の方向性をどうするか困ったときには ”数値化する” ことで、どうすべきかはっきり見えてくることがあります。企画において数値化の重要性を軽んじてはいけないのです。

■ ”適当でもよいので数値化する” のがコツ

一言に ”数値化する” といっても、どのように手をつけたらよいのか分からないという方も少なくありません。

売上、利益、生産キャパ、販売予測など分からない数値は、まずは “適当でもよいので”、仮に入れてみます。
この “適当でもよいので” がコツです。
その数値があっているか違っているかを議論する前に、仮で値を入れてみる。
その後、その数値をいくつかのパターンに置き換えてみる。

エクセルで作っておけば、あとで修正するときも数値を変えるだけで全体が分かります。

先ほど例に挙げた新規事業企画チームでも、まずは仮の数値による粗い試算をし、もう一度見直して精度を上げる必要はありましたが、大きな方向性に間違いはありませんでした。

このように企画の方向性に困ったら、数値化してみましょう。
まずは “適当でよい” ので、仮の数値を入れて、数値化してみてください。

この方法は企業の商品企画や新規事業開発だけではなく、個人事業主や起業家の方々が、戦略や計画の方向性を考えるときにもとても有効です。
プライオリティが見えてきます。

■ 数値化するための3つの方法

ところで、新しい商品や新規事業の企画の場合は「“適当でよい” ので、仮の数値を入れて数値化する」と言われても、その仮の数値も見当がつかない、という声もよく聞きます。

確かに既存モデルのモデルチェンジや派生モデルの場合は、元となる実績や数字があるので比較的試算しやすいですが、新しい商品や新規事業では仮とはいってもなかなか試算の難しい部分があります。

そのような時に、私がよく行う試算の3つの方法をお伝えします。

(1) ポテンシャルの規模感を試算する方法
(2) 売上目標、計画を試算する方法
(3) 目標達成のための販売戦略を試算する方法

ひとつづつ見ていきます。

(1)ポテンシャルの規模感を試算する方法

自分たちの企画案がビジネスとしてどれくらい期待できそうなのかをざっくり試算するときに行う方法です。

例えば、自動車向けのグッズを新しく企画する場合、こんな風に試算してみます。

・日本の車の1%に使ってもらったらどれくらいの数量、売り上げが期待できるか?
・新車の1%だったらどれくらいになるか?

1%は規模感を見るためのもので、特に根拠はありません。ただ、これでポテンシャルはざっくり確認できます。

もともとの期待値に対して、十分なポテンシャルがある場合は安心できますし、いい企画をたてて、しっかり認知していく策を練っていきます。

逆に、期待しているほどの規模にならなかった場合は、対象を広げる策を考えるか、企画そのものを見直すことになります。

この試算は企画の早い段階で行っておくことをお勧めします。

(2)売上目標、計画を試算する方法

ポテンシャルが十分なことが分かったら、売上目標とそこへの計画を試算してみます。
※(1)と(2)は逆でも構いません。

当然ながら売上目標は企業の規模や実力によって異なってきます。ですから直感で構わないので自分たちの実力ではどのレベルをめざしたいかを、目標としておいてみます。

たとえばこんな考え方です。

・3年後には月○○台、○○万円(億円?)売上げていたい。
・3年間の合計で企画台数○○台、○○億円達成したい。
・そこに向かうには、販売開始からどのように推移させていくか?
一 直線に右肩上がりになるのか、
ー 指数関数的に伸ばしていくのか?

こんな感じで、ざっくりでよいのでエクセルで試算してみます。すると現実的な可能性が見えてくるはずです。企画を進める中で変わって行くこともありますが、まずはこの目標に向けての計画、企画をたてていきます。

(3)目標達成のための販売戦略を試算する方法

現実的な売上目標や計画がある程度試算できたら、確実性をあげるために、達成するためのブレイクダウンをざっくり検証しておきましょう。

・そのためのマーケティング戦略、販売戦略はどのようにすればよいか?
・商品の製造キャパシティは問題ないか?

目標を達成するために必要なことを洗い出してみます。また、既存のリソースを活用するだけで問題がないか、新たに開拓や準備が必要かを確認しておきます。

このように企画の初期段階では、たとえ粗い試算でも数値化しておくことによって企画の精度があがっていきますので、試してみることをお勧めします。

■ まとめ

商品や新規事業を企画する上で ”数値化” することはとても重要です。なぜなら数値化によって企画の戦略の方向性を決定づけることが可能だからです。
まずは、“適当でもよいので” 数値を置いてみて、行ったり来たりしながら整合性をとってみてください。

新しい商品や新規事業の企画の場合は数値化が難しい場合もありますが、
(1) ポテンシャルの規模感を試算する方法
(2) 売上目標、計画を試算する方法
(3) 目標達成のための販売戦略を試算する方法

の3つの方法を試してみてください。

あなたのビジネスの参考になれば嬉しいです。

企画推進に役立つ記事をメルマガとしてほぼウィークリーで発信しています。
ぜひ、こちらからご登録ください。
いつでも解除可能です。





一覧に戻る ≫

新着記事