商品企画マン・新規事業開発者必見!戦略的発想とは?知っておくべき二大戦略【前編】孫子の兵法

2021.05.05

新規事業開発や商品企画、企画推進には戦略的発想が不可欠です。
戦略的発想とはどういうものなのかについてお伝えしたいと思います。
また、ビジネス戦略論は数え切れないほどありますが、ここでは基本中の基本である二大戦略「孫子の兵法」と「ランチェスター戦略」について新規事業開発や企画推進の上でどう解釈するのかについてお伝えします。
【前編】は「孫子の兵法」についてです。

■ 戦略的発想とは

” 戦略的発想” と聞くとなんだか敷居が高くて尻込みしてしまう方も多いのではないでしょうか?
「戦略的に発想したことなんてない。」
「戦略的に発想するってどういうこと?」
と思っている皆さんでも、実は知らず知らずのうちに戦略的発想をしているのです。

例えば、子どもの頃缶けり遊びをしているとき、どうやったら鬼をおびき寄せている隙に缶をけられるか、
学生時代、部活やサークルの試合やコンクールの場面で、相手チームに対して自分達の強みを打ち出して優勝するにはどうしたらよいか、
などと考えた方は多いのではないでしょうか?
あるいはライバルがいる中、好きな人を落とすために工夫したこと・・・などを思い出してみてください。
それが戦略的発想です。

必ずあなたも ”戦略的に発想したこと” があるはずです。
また、あなたがやってきた仕事の中にも戦略的に勝ちとった成功体験が必ずあるはずです。

必死になって考えて勝ちとった、工夫して突破した、などの経験はあなたのリソースとして必ずビジネスに結びつきます。

そんな戦略的成功体験をできる限り思い出し、大切にしてください。
必ず今後の行動や成功につながります。

さて、言うまでもなくビジネスをしていく上で「戦略的に発想する」ことはとても重要です。
特に新規事業開発や商品企画を進める上では戦略的発想はかかせません。
ここでは戦略的発想の基本とも言える二大戦略について見ていきましょう。

■ 二大戦略「孫子」と「ランチェスター」

ビジネス戦略論には、コトラー、ポーター、ドラッカー などたくさんありますが、私としては、まず二大戦略である 「孫子の兵法」「ランチェスター戦略」の2つを学ぶことを強くお勧めします。
なぜなら、まずこの2つを把握したうえで 他の戦略を学ぶと、理解の度合いが格段に変わるからです。


ソフトバンクの孫正義さんも、2010年に行われた ソフトバンクアカデミアの開講式の冒頭で
「今日伝えたいことの結論をまず言うと・・・」 に始まり、
「孫の二乗の兵法とランチェスターを学べ」 と言われています。
孫の二乗とは 孫子の兵法と孫正義ご自身 のことです。
さすがですね。
youtubeもありますので、 ご覧になってください。

そのくらい「孫子の兵法」 と 「ランチェスター戦略」は基本中の基本です。
孫子の兵法では、

・戦略とは何か?

・戦略的に発想するとは?

の感覚が身につきます。

ランチェスター戦略はより実践的で、自社のポジションによっての

・弱者の戦い方

・強者の戦い方

を理解することができます。

私自身、この2つの戦略を学んでから企画がとてもやりやすくなりました。
さらにランチェスターについては、自分の過去の成功や失敗がまさにそこに記されている通りに当てはまっていたことに後々気づき驚いたものです。

孫子とランチェスター、知ると知らないとでは大きく変ります。
「戦略って言われてもよく分からない・・・」 という方は、 ぜひこの2大戦略を学んでみてください。

書籍もたくさん出版されています。

私のお勧めは
「孫子の兵法がわかる本」守屋洋著
「ランチェスター戦略 弱者逆転の法則」福永雅文著
あたりでしょうか。

とっつきにくい方は、マンガもたくさん出版されています。
感覚をつかむにはマンガもお勧めです。

■ 「孫子の兵法」基本的5つの考え方

ではまず「孫子の兵法」全体概要をお伝えしたいと思います。

「孫子の兵法」は、約2500年前に孫武によって書かれたとされる最も有名な兵法書です。
2500年も前の兵法書が、現在でも継続して活用されているという事実。
これこそ「孫子の兵法」が戦略論を語る上で基本中の基本であることを証明しています。

愛読者としては、ナポレオン、孫正義氏、澤田秀雄氏(HIS会長)、ビル・ゲイツ、ラリー・エリオン(オラクル)などの著名人がよく挙げられます。
武田信玄の「風林火山」も「孫子の兵法」が基になっています。

また1990年の湾岸戦争において、米軍が「孫子の兵法」を現地に持参したことも有名です。

「孫子の兵法」は全十三篇で構成されており、
「戦略的に発想するとはどういうことか?」
を理解することができます。
ぜひ、ご一読ください。

基本的な考え方は5つになります。

①戦争を推奨するものではない

あくまで目的は国の平和を保つことで、戦争は手段。
戦争には大義が必要と書かれています。
目的と手段の関係はとても大切です。

②実践的な手法

理想を語るのではなく、非常に現実的です。
これが時代を超えて愛読されている理由です。

③主導権の重要性

主導権を握ることの重要性が繰り返し書かれています。
いかに主導権を握るかが戦略の基本です。

④主君よりも将軍の職務を重視

新規事業開発や商品開発に置き換えると、マネジメントとプロジェクトリーダーの役割りやあり方に置き換えることができます。
マネジメントにも、リーダーにも 学んでほしい内容です。

⑤相手のウラをかく

戦争とは ”奇襲、だまし合い”であると書かれています。
とても現実的ですよね。
ランチェスターの弱者の戦略にも通じます。
弱者の戦略については【後編】ランチェスターの戦略をご覧ください。

■ 「孫子の兵法」に学ぶ 企画推進に響く3つの言葉

さて、「孫子の兵法」全十三篇から企画に直結する3つの言葉 をピックアップしてみます。

①「彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」

聞いたことある方も多いはず。
ビジネスには必ずライバルがいます。
「彼(ライバル)をしっかり分析し、己(自社)もしっかり分析すれば、負けることはない」というものです。
今ライバルがいないという場合でも、優れた商品やサービスであれば必ずライバルが現れます。
油断は禁物です。

マーケティングでいうと、
3C分析 Company(自社) Competitor(他社) Customer(顧客)
です。
「負ける戦いはしない」という孫子の教えのように、もし分析によって負けるリスクがみえたときには、必ず勝てる領域での戦いへ見直しましょう。

②「兵は詭道なり」

”戦争とは奇襲、だまし合い” であるというのは基本の5つの考え方にもありました。
相手の裏をかく・・・これは企画でいうと、”差別化” につながります。

とくに市場において弱者である場合は、敵(ライバル)の意表を突く明確な差別化が不可欠です。
どうしても売れている他の商品やサービスが気になって真似をしたり、同じような作戦を取ってしまいがちですが、それでは勝てません。

分かってはいるけれど「言うは易し、行うは難し」ですよね。
周囲の理解を得るのが難しい時もありますが、差別化せずにそのまま強者と同じ路線で行くと間違いなく失敗します。
失敗とまでは言わなくても 成功には至らないでしょう。

弱者の場合は必ず 明確な差別化 にチャレンジしてください。

③「戦わずして勝つ」

これも有名ですね。
「孫子の兵法」では、最も大切なことは国の平和であって、戦争はあくまでそれを守るための手段。
戦争に至る場合は、その大義、目的が大切であると言っています。
これは企画では ”ミッション” や ”理念” にあたります。

商品導入や新規事業開発 はあくまで企業活動のいち手段。
社会にどう貢献するか、どんな価値を世の中に提供するか、何のためにやるのかをしっかり定義し、そのうえで企画を進めてください。

■ 「孫子の兵法」全十三篇

「孫子の兵法」には、この他にも参考になることが満載です。

「孫子の兵法」全十三篇の項目をあげておきます。

第一章 : 始計篇 正確な情報をもとに勝算を検討
第二章 : 作戦篇 戦う時の「損失」にも目を向けよ
第三章 : 謀攻篇 「戦わずして勝つ」 が最重要
第四章 : 軍形篇 戦う前に態勢を整える
第五章 : 兵勢篇 一人の働きに頼らずチームで勝て
第六章 : 虚実篇 相手の弱みをついて主導権を握る
第七章 : 軍令篇 敵をあざむき、不利を有利に
第八章 : 九変篇 総合的な判断力と冷静な態度
第九章 : 行軍篇 部下の心をつかむリーダーの配慮
 第十章 : 地形篇 有利なポジションを見極める
第十一章 : 九地篇 ピンチを利用してチャンスに変える
第十二章 : 火攻篇 好機を確実につかむ感情の整理
第十三章 : 用間篇 精度の高い情報を収集する

いかがでしょう?
面白そうですよね!
「孫子の兵法」は 企画に関わる方は必須の書です。
戦略的に発想が身につきます。

■ まとめ

戦略的発想とはなにか?
そして、新規事業、企画推進をしていく上で是非知っておいてほしい二大戦略があることをお伝えしました。
「孫子の兵法」と「ランチェスターの戦略」は基本中の基本です。


孫子の兵法では、
・戦略とは何か?
・戦略的に発想するとは?
の感覚が身につきます。

星野リゾートの星野佳路さんが、
「定石というのは、勝つことを保証するものではないが、負ける可能性を減らす」
と言われています。

「孫子の兵法」はビジネス戦略の定石です。
是非ご一読をおすすめします。

【後編】ではランチェスター戦略についてお伝えします。

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