モノが売れない原因は?

2023.01.20

「いいモノを作っている自信はあるけど、売れない…」
商品開発チームをサポートしている中で、こんな声をよく聞きます。

モノが売れない原因はなんだと思いますか?
原因とその理由を探ってみましょう。

■ ソニー元副社長 大曽根氏語録

セミナーやコラムでよくご紹介するのですが、私の企画の原点でもある大曽根幸三さんがよくこのように言われていました。

「モノが売れない原因は、高いか悪いかのどちらかだ! 」

大曽根語録について書かれた書籍がありますので、そこから引用します。

「急ぎの仕事は忙しいヤツに頼め。ソニー元副社長・大曽根幸三の成功金言53」
石田修大著

=======引用=======

商品が売れないとき、
ああでもない、こうでもないと議論をするが、
売れない理由に高等な理由などありはしない。

値段が高いか、商品のできが悪いか、
そのどちらかに決まっている。

================

その通りですね。
大曽根さんは本当にいつも単純明快です。

私は、このモノが売れない原因にもう一つ加え、以下の3つと定義しています。
① 価格が高い
② モノが悪い
③ 認知できていない

ほとんどの場合、このどれかに当てはまるはずです。

ひとつずつ見ていきましょう。

■ 原因ー①価格が高い

モノは良いが売れない場合、まずは価格が高いことが考えられます。

・競合と比較し価格で負けている
あるいは
・顧客の値ごろ感とあっていない
などです。

その場合は、適正な価格、値ごろ感に下げましょう。
それでも売れなかったら、他に原因があるということです。

もし価格を下げて赤字になるようなら、”企画自体が甘かった” ということになります。
必死でコストダウンをするか、根本から見直す必要があります。

商品価格はコストからの積み上げで設定していては売れません。
顧客の値ごろ感をとらえ、それに見合うコストで作ることが鉄則です。

■ 原因ー②モノが悪い

モノづくりでは、根本的な課題です。
しっかりした確認と対策が必要です。
いくつかのケースがあるので見ていきます。

(1)コンセプトが悪い

そもそものコンセプトが悪い、顧客価値がない場合です。
企画時の確認があまかったのかもしれません。

顧客価値がないと判断した場合には、必要以上の費用はかけず、次世代モデルの企画にとりかかるほうが得策です。

(2)競合に負けている

顧客価値はあるが、”競合と比較されて負けてしまう”、または、”選ばれない”というパターンです。

価格とのバランスがとれていない場合も多くあります。
価格を下げてみるか、マイナーチェンジで競合に勝てる商品に改良していく企画を立てます。

この時、当然競合も新機種を進めているので、そこを十分に想定しすばやく対処することが大切です。

(3)品質が悪い

1号機の場合によくあるケースです。

ノウハウがなかったり、スピードやコストを優先するあまり品質がないがしろになってしまうことがあります。

顧客の許容範囲を超えた品質の悪さは致命傷になりかねません。
1号機は品質重視で導入し、導入した後にコストダウンをしていくのが鉄則です。

この時、行き当たりばったりにならないよう、初期ロットはあえて品質重視とし、その後コストダウンを検討していくという計画をたてておくことが重要です。

■ 原因ー③認知できていない

大手企業の場合は、新製品のリリースで広告宣伝費をかけていくため、あらかじめ市場にある程度商品を認知させることができます。
しかし、中小企業やベンチャー企業の場合はここが課題になるケースがあります。

テスト販売で手ごたえがある場合は、宣伝広告費をかけて、しっかり市場に認知させていくことも必要です。

現在は認知の方法も多岐にわたるので、費用と時間を考慮して、トライアルしてみてください。

■ 新規性が高すぎて売れないこともある

さて、「売れない原因は何か」をみてきましたが、 ”新規性が高すぎる” ために売れないこともあります。

商品企画においては新規性があることは非常に大きなアドバンテージですが、新規性が高すぎる場合、市場に認知されにくく、なかなか販売に結びつかないことがあります。

例えば、ソニーのウォークマン、アップルのiPhone などの例があげられます。
1号機は新規性が高いため、当初は「こんなものが売れるのか??」 という評判でした。
実はどちらも2号機以降で売れ始めているのです。

残念ながら市場創造型で新規性が高い商品は、事前のユーザー調査をいくらやっても、よい結果は期待できません。

ソニーのウォークマンでも同様でした。
事前にユーザー調査を行いましたが、さんざんな調査結果で、役員も発売に大反対だったそうです。
それが2号機以降では、ご存じのように大ヒット商品に。

新規性が高い商品やサービスを進められている方は、
あきらめずにねばって、2号機、3号機と改良を重ねてください。


ここで私の実体験をお伝えしましょう。

私がソニーのUSBメモリーの初代モデルの商品企画を担当していた時、まだUSBメモリー自体が日本には導入されておらず、データ保存はフロッピーディスクが全盛の時代でした。

営業も販売店さんに説明しても「こんなもの売れませんよ」とさんざんな評価。

USB端子自体は普及し始めていたので、新しいものに理解のあるお店に頼み込んで、フロッピーディスク売り場の横になんとか置かせて頂くことができました。

その後、なかなか認知されないのをねばってねばって市場拡大、競合も参入し、事業としては200億円規模のビジネスとなりました。

■ まとめ

いかがでしたでしょうか?

導入したけれど、さっぱり売れず、営業コンサルタントに販路開拓を泣きつく…
経験のある方も多いのではないでしょうか。

たとえ営業コンサルタントがカンフル剤的に対処をしてくれても、企画そのもの自体が悪いければ一過性で終わってしまいます。

やはり最も大切なのは、初期の段階からコンセプトと戦略をかため、失敗しないように確実に進めることです。

新規性が高い場合などやってみなければ分からないことも多いですが、事前に想定、確認できる場合も多くあります。

しっかり、予測しながら、かつスピードも重視で進めてください。

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