コラム
2020.12.19
”企画は10%のクリエイティビティと90%のパワー!”
【前編】では「10%のクリエイティビティ(創造性)」についてお伝えしました。
”クリエイティビティ” がなければ、何も生まれないし何も始まりません。
企画にとってクリエイティビティはとても重要な要素ですが、それだけでは企画を完成することはできません。
【後編】では「90%のパワー(企画推進力)」についてお伝えします。
新規事業開発や商品企画にはクリエイティビティだけでなく、その企画を推進していくパワー(企画推進力)も重要なのです。
新規事業開発や商品企画という仕事は本当にやりがいがあります。
自分のアイデアが採用され、企画が進み、何十人何百人の関係者が動いてくれる。
数千万円、数億円、場合によってはそれ以上の予算が動く。
そして商品やサービスがリリースされたくさんの方々に使っていただける。
まさに企画マン冥利に尽きます。
一方で責任も重大です。
トラブルの度に「お前どうするんだ??」と言われ、走り回ることも多々あります。
企画マンはある時は繊細に、ある時は大胆に、押したり引いたりしながらプロジェクトを推進していかなければなりません。
【前編】では「10%のクリエイティビティ(創造)」についてお伝えしました。
しかし、どんなによいアイデアが思いついたとしても 「90%のパワー”」が無ければその企画は世に出ない、成功しないで終わることになります。
ここでいう「パワー」とはいわゆる ”企画推進力” という言葉がもっとも近いですが、私はあえて”企画を立ち上げるために必要な力”という意味で「パワー」と呼んでいます。
「努力」という言葉とも似ていますが、やはり”パワー”だと思います。
私が考える企画推進に必要な7つのパワーを挙げてみます。
①アイデアを絞り出すパワー
②協力者と賛同者を集めるパワー
③協力者が現れるまでは自分でなんとかするパワー
④ぼろぼろに言われてもめげないパワー
⑤社内承認会議を突破するパワー
⑥数々のトラブル、壁を乗り越えるパワー
⑦必ず立ち上げると信じ切るパワー
順にお伝えしていきます。
【前編】「10%のクリエイティビティ」で、アイデアを発想していくことについて触れました。
ここではあえてアイデアを”絞り出す” とします。
アイデアがどんどん湧き出る方もいるかもしれませんが、私にとってはアイデアは”絞り出す” という感覚です。
アイデアを求められたとき、まず最初は ”質より量”、とにかくたくさん洗い出します。
出なくなってもさらに出します。
まさに”カラカラに乾いた雑巾を絞って一滴の水を垂らす” イメージです。
アイデアによってはほとんど使い物にならないものも少なくありません。
しかし不思議なことに考えに考え抜いた後、“コレだ!” と思うアイデアがひらめくことが本当によくあります。
例えば寝ているとき、お風呂に入っているとき、歩いているときなど、全くそのことを考えていないときに、です。
画期的だと思えるアイデアはこういう時にひらめくと言っても過言ではありません。
無意識にいつもそればかり考えているからだと思います。
アイデアの出し方についてはこちらの記事でお伝えしていますが、このアイデアを絞り出すことは企画に必要なパワーです。
企画は一人や小さいチームから始まることも多々ありますが、多くの協力者や賛同者が必要になります。
協力者とは手を動かしてくれる人たちです。
賛同者とはその企画やプロジェクトを支持してくれている人たちです。
企画が進むにしたがって、その分野の有識者、あるいは手となるリソースをみつける必要があります。
また、承認の場や会議などで、指示を表明してくれる人、特にマネジメントレベルでの賛同者を見つけておくことは大切です。
新規性が高い企画の場合、どういった協力者が必要かも最初は分からないことがほとんどです。
会社のどこに目的の人がいるかが分かっている場合はよいですが、分からない場合はまず承認の場や会議などで面識のない人の協力をとりつける必要があります。
目的の人が社内にいない場合は外部で探すことになります。
単なる協力のお願いだけではなく、プロジェクトへの想い、プロジェクトのビジョンを語って、心からの強い賛同、協力を得られるようにしましょう。
企画の推進は協力者、賛同者をいかに巻込んでいくか、企画マンのパッションとパワーが試されるところです。
協力者、有識者が見つかればよいですが、すぐには見つからない、あるいは見つかってもアドバイスはもらえるが協力までは得られないケースも多々あります。
だからと言って企画を中断させるわけには行かず、そのような場合でも企画チームでなんとか前に進めることになります。
専門スキルが必要な仕事はさすがに無理ですが、可能なものは少しずつでも自分達でなんとかしていくことが重要です。
苦労してトライしてみることで、協力してもらう時に内容が分かるという利点もあります。
少しでも進むと不思議と協力者が現れることが多いです。
プロジェクトを前進させるために必要なパワーです。
どんなに馬鹿にされても、ぼろぼろに言われてもめげないこと。
最も重要かもしれません。
みんながよいと言ってくれる企画は危険です。
感覚的には8割くらいの人から反対される企画の方が成功するだろうと思います。
新規事業や新商品はまだ世の中にないものを考えています。
周囲の多くの人が支持してくれるということは新規性や斬新さに欠けていると思ってください。
企画センスのある人以外は、ほとんどの人が今の時間軸を見ています。
企画マンはその企画が導入される時間軸ではなく、そのさらに先の商品や事業が立ち上がった後の時間軸を想定して進める必要があります。
この時間軸があっていないと議論や話が合わないことが多々あります。
あるときは理解されないだけでなく、バカにされたり笑われたり、上手く進まないときは「それ見たことか」といろいろな声が耳に入ってきます。
これらにめげないパワーが必要です。 ”鈍感力”とも言えますね!
仕事と言う意味では最も重要な項目ですね。
企画初期は承認者がある意味クライアントでもあります。
承認者や関係マネジメントの指摘、意見は聞かないわけにもいかず、指摘されたら解決、確認しながら社内承認を突破していく必要があります。
場合によっては承認前の事前確認や、多数の関係マネジメントの了解が必要な場合も多いでしょう。
企画が今どの時点で、どの部分を承認してほしいのかを明確にしながら進めていきます。
リスクや課題も対策案を含めて共有が必要です。
完璧な企画など存在しません。
正解も分かりません。
承認は企画自体に対してではなく、企画マン自身に対してされている場合が多いです。
何段階もの社内承認を突破するパワーとして挙げておきます。
パワーと合わせて内部戦略も重要です。
【前編】”10%のクリエイティビティ”でも挙げましたが、新規性が高ければ高いほど、トラブル、課題が降ってきます。
言うまでもありませんがそれを乗り越えるパワーが必要です。
大変ですが、それが楽しい、そういう時こそ腕の見せ所と思って進めましょう。
トラブル、課題は事前に想定できるものも多くあります。
想定できるリスク、課題はできる限り事前に洗い出し、チームメンバー、マネジメントとも共有しておくことで冷静にすばやく対応することができます。
素性がよいと信じている企画であれば「できるか? できないか?」 ではなく、できる方法を探すという考えでいきましょう。
本当に不可能であることが判明すれば、時期や企画内容を見直すことになります。
素性がよい場合、ほとんどの場合はなんらか解決法がでてきます。
企画マンは自分の企画を信じましょう。
しっかり情報を集め、リスク対策など抜け漏れが無いように進めていきます。
絶対に立ち上げると信じるパワーは非常に大切です。
【前編】【後編】にわたって「企画とは10%のクリエイティビティと90%のパワー!」 について私の経験からお伝えしました。
クリエイティビティ(創造性)とパワー(企画推進力)に戦略が加わると企画はさらに強力になると考えます。
新規事業開発や商品開発での “企画” と言われる仕事は一見華やかに思われがちですが、非常に泥臭い仕事です。
しかし、自分の企画した商品やサービスが生まれ、それが社会に貢献し、結果として会社にも貢献することは本当にすばらしい仕事だと思います。
新しく企画の仕事についた方々、新規事業を任されたリーダー、企画もすべてこなす中小企業の経営者の方々、企画チームを持つマネジメントの方々に少しでも参考になれば幸いです。
ご意見、ご質問など、お気軽にご連絡お願いいたします。